
「背中が丸くなった、伸びない!(円背変形)」といった訴えが高齢者の方によくみられます。代表的な原因と一つとして、「胸・腰椎圧迫骨折」を挙げることができます。
以前は、若い人が
高い所から臀部や足から落下して起こることが多かったのですが、現在は高齢化社会とともに、
骨粗鬆症をあわせ持つことの多い高齢者に増加しています。特に、
女性では骨粗鬆症が閉経に関連して増加するため、骨折しやすくなります。
高所からの
転落・交通事故・転倒といった大きな力が働いて起こる場合と、
荷物を持つ・畑作業・草むしり・くしゃみといった比較的軽い日常の動作で起こる場合があります。
「転倒して尻もちをついた」というものが最も多く、高齢者をはじめといた骨粗鬆症が基盤にある人では軽い尻もちでも起こります。また最近は、若い人で
「スノーボード」などの後方に転倒することが多いスでよくみられます。
安静にしていると痛みは少ないことが多いのが特徴です。動作をしたとき
(起き上がる際など)に強い痛みが生じることがありますが、あまり痛みを感じないこともあります。
背中と腰の間くらいの位置
(胸・腰椎移行部=第11・12胸椎、第1・2腰椎)で発生することが多いですが、骨盤付近の痛みとして感じることもあります。
神経的な症状(足の痛み・シビレ・力が入らない、尿が出にくいなど)が起こることは少ないですが、骨折が高度の場合などは、このような症状が生じることがあります。
手術が行われることは少なく、保存治療(手術治療以外のもの)が基本になります。
初期(特に1か月くらい)は、変形が進行しやすく
安静(寝ていること)が重要で、その上で、
コルセットやギプス固定を行います。そのため、入院治療が行われることも少なくありません。こういった治療で、多くの安定した圧迫骨折は2〜3か月で骨癒合します。
しかし、骨癒合後もさまざまな症状を訴えることが多く、それらに対応することも重要です。例えば、ギプスやコルセット固定を外した後は、
長時間立ったり、座っていると背中の痛みや腰痛が起こりやすくなります(筋肉が弱くなっているため)。当院では、こういった症状に対し、
筋肉の緊張緩和・痛みの軽減・血流の改善などを目的に、
低周波治療・温熱療法・ストレッチング・マッサージ・はり灸治療などを行っています。また、弱くなった筋肉を強化することも大切で、
筋肉トレーニングなどの運動療法を行っています。